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<社説>雇用情勢急激悪化/政府予算の使途を変えよ

新型コロナウイルスの猛威が、雇用にも深刻な影を落としている。

 2020年度の有効求人倍率は全国平均で前年度比0・45ポイント下がり1・10倍、沖縄では同0・52ポイント下がって0・79倍と、急激に落ち込んだ。失業率も悪化している。県内では大卒内定率も4・7ポイント下がる63・7%(1月末現在)で、働きたくても、仕事そのものがなくなりつつある。

 国民の生活を守るため、今ほど強力な財政出動が必要とされる時期はない。政府はGo To事業など不急の予算を直ちにコロナや雇用対策に振り向けるべきだ。

 全国、沖縄ともに直撃を受けたのは観光需要の減少に伴うサービス業だ。

 観光を基幹産業とする沖縄では、宿泊・飲食サービス、卸・小売り、生活関連サービス・娯楽の各業種で、新規求人がほぼ半減している。

 人の移動がなければサービス業は成り立たない。まずは水際対策を徹底して感染拡大を防ぎ、元の生活に戻れるようワクチン接種や医療態勢の拡充などに十分な予算を確保すべきだろう。

 同時に足元の暮らしを守る方策により力を注ぐべきだ。

 売り上げが減少した企業が雇用を維持するため、休業手当の一部を政府が補償する雇用調整助成金は現在、助成率や上限額を従来より手厚くした特例に従い支給される。しかし緊急事態宣言地域を除き、今月から特例は次第に縮小される。企業側からすれば、売り上げが減る一方で持ち出しは増えることになる。

 沖縄振興開発金融公庫の調査でも、事業継続への支援策として、最も継続への要望が多かったのが同助成金だ。

 一方、今年4月時点で同助成金の支給決定額は3兆3千億円を超え、2021年度末には底をつくとされる。このため財務省は4月初めの時点で「雇用情勢が大きく悪化しない限り(特例は)早期に解消すべきだ」と主張していた。

 まさに「雇用情勢は大きく悪化」しているのだ。財源が不足するというのであれば予算を見直せばよい。

 2021年度の政府予算は、景気対策であるGo Toトラベル事業に約1兆円、省庁の施設耐震化を含む防災・減災、国土強靱(きょうじん)化に約4兆円など今すぐ必要か首をひねらざるを得ない項目がある。

 特にGo Toトラベルは20年度の総予算2兆7千億円に対し、年度末の消化額は6千億円にとどまった。感染収束が見通せない中、巨額の繰り越しは道理が通らない。雇用対策にこそ生かすべきだ。

 トラベル事業は感染拡大を招いたと批判もあった。新型コロナ流行の第4波が現実となり、緊急事態宣言を繰り返す状況の中、政府は自らの失政を認めるしかない。

 国民から預かった税金を活用する予算は政治家や省庁のものではない。国民が真に必要とする施策が何か見極め、使途を決めるべきだ。

2021/05/02 琉球新報朝刊 8ページ 1126文字

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